エッシャーとその師メスキータ
『ミラクルエッシャー展図録』は、エッシャーはなぜ絵を描くことよりも版画に魅かれたのか?彼の最初の木版への傾倒と特別な思い入れは、彼がとても尊敬していた恩師、サミュエル・イェッスルン・ド・メスキータの影響に帰する。エッシャーはハールレムの建築装飾美術学校で彼に学んだ。ド・メスキータは彼に版画伝統への愛情を語り伝え、彼が芸術の世界へ踏み出す第一歩を後押しした。初期の頃、エッシャーは黒と白のコントラストが...
View Article惠美子氏の想いをのせて青田風
田上惠美子氏の蜻蛉羽通信を拝見する度に個展の予定が増えていく。しかも遠方が多い。今回は米沢市の青田風という、去年も田上氏が個展をされたカフェ+ギャラリー。田上氏の「今年はさすがにガラスだけ行ってきます」というコメントと、青田風という夏の季語で、タイトルを俳句風に遊んでみました😅時節柄涼しげな蜻蛉玉が表面に、そして裏面には、飛び立つような作品が。置物とは思えないが、アクセサリーならどうやって使うのだろ...
View Articleイスラエル博物館所蔵 メスキータ展
『メスキータ展図録』は、メスキータの日本で初めてとなる回顧展を開催します。サミュエル・イェッスルン・ド・メスキータ(1868-1944)は、19世紀末から20世紀前半にかけてオランダで活躍した画家、版画家、デザイナーで、長く美術学校で教鞭をとりました。版画では、特に木版画に注力し、明暗のコントラストとシャープな線を生かした独創的な作品を数多く残しました。また、生涯を通じて描いたドローイングは、「自分...
View Article伊吹山から見る景色と花々
醒ヶ井のバイカモを見に行こうかということになり、それなら久しぶりに伊吹山にもということになった。何しろ伊吹山は何時入ってもガスで視界がひらけない山だったのだ。コロナの影響で、この時期滅多にないことに高速道路は渋滞もなく快適。高級スポーツカーにすいすい追い抜かれても、「やっぱり名神を通ると普段見られない車がいろいろ走ってるな~🤩」などと楽しみながら近くまで来ると、雲は出ているものの、まだガスってはいな...
View Article醒井で地蔵川の流れと梅花藻を満喫
JR醒ヶ井駅でもらった『醒井湧くわくMAP』は、中山道醒井宿はヤマトタケルノミコトの熱を醒ました伝説の湧水「居醒の清水」がある清流の郷。夏の間、居醒の清水を源流とする地蔵川には、梅の花そっくりな水中花「梅花藻」が無数に咲き乱れ、涼しげにゆらいでいます。梅花藻はキンポウゲ科の水中花で、梅に似た五弁の花をつけることからこの名がついたそうです。梅花藻は水温が年間14℃前後の清流にしか生息しない、まさに貴重...
View Article藤森照信氏の建築を見にラコリーナへ
昔々、新聞で藤森照信氏のエッセイを読んでとても面白かった。建築史の学者であることはわかったが、建築家でもあることは知らずにいた。その後歳月は流れ、日経新聞の日曜版に、藤森照信氏の奇妙な建築物群が紹介されていて驚いた。どれも興味深く、実際に見てみたかったが、その中で、滋賀県の湖東にある商業施設が、一番手軽に行けそうなことがわかった。昨年、近江八幡市で八幡山に登ったり、水郷めぐりをしたりした時、琵琶湖の...
View Article遂に石とガラス展
田上惠美子氏の個展は遠いところが多かったが、やっと関西での開催となった。池田市と言えば、阪急池田駅から逸翁美術館までのあたりしか知らないし、その逸翁美術館でさえ、建て替えられてからまだ行ったことがない😓どんな街なのだろう🙄案内の文章もいい。地質、噴火、洪水、堆積・・・石は地殻と気象の壮大な変動の中にいる。私の一番好きなTV番組「グレートネイチャー」(NHK)の世界そのもの😍人は石を熔かし混ぜ合わせ、...
View ArticleGULIGULIで珪砂組の「石とガラス展」
時間があったので、地図にあった阪急石橋阪大駅を乗り越し、次の池田駅で下車。若い頃に逸翁美術館へ行くために降り立った駅前の面影は見当たらなかった。現在の池田がどんな街になっているのか、少し探検してみようと思って歩き出したが、曇りがちの日なのに、その時は日差しがきつく、暑かったので、日陰を選って歩いたようなものだった。池田駅から少し歩いたところで、妙な建物があった。明治の洋風建築のような外観でもなく、重...
View ArticleGULIGULIの外の庭と中の庭
珪砂組の「石とガラス展」が開催された高い木々に囲まれたGULIGULI。高い木の外側には垣根、更にその外側にもいろいろと植わっている。垣根の側面ヤツデのようでもあるが、やっぱり違う。ヤツデは常緑樹なのに、黄色く紅葉が始まっている葉がある。調べてみると、イワヤツデというユキノシタ科の多年草だった。その下には竹の低いササ。石がわずかに顔を出している。駐車場は一つずつギザギザになっていて、それぞれの奥に板...
View Article志村ふくみ いのちを織る展 源氏物語
志村ふくみさんを知ったのは、おそらくNHKの「我が心の旅」という番組だったと思う。「トルコに染色を訪ねて」というタイトルで、その初回放送は2000年だったが、今年に入って2回ほど再放送があった。草木染めで羊毛の糸を染めるトルコの小さな村を訪れた志村母娘は、その染料に絹糸を染める場面があった。アーモンドの新緑の葉で黄緑色に染め、その後アカネにつけると、春の初々しい黄緑と、アカネを重ねた夕焼け色という、...
View Article織部の文様 幾何学文
志村ふくみ氏に「織部段」(1987年)という作品があって、若い頃からデフォルメされた織部のやきものが面白く、見ていて楽しかったことを、志村氏の作品を見て思い出した。はて、どんな文様があったかいなと『織部の文様』という本を久しぶりに手にとってみた。...
View Article織部の文様 吊し柿と花の蕾
織部焼では幾何学文だけではなく、花文や樹木などの植物もよく描かれている。なかでも私の好みは「吊し柿」と呼ばれている文様だ。しかも、久々に織部焼の図版を見ていて気付いたのは、萼のない吊し柿と、萼のある吊し柿があることだった。まずは萼のない吊し柿から織部つるし柿香合 桃山時代 17世紀 高さ...
View Articleパサルガダエの遺構に新説
イランを旅して記事にまとめた後に、『ペルシア帝国』という本が出たので読んでみると、アケメネス朝ペルシアの遺跡の一つパサルガダエの遺構が、これまで比定されていたものとは異なることが判明した。Google...
View Article投入堂は平安時代の最高の技術と材料の建物
投入堂に行った、というよりは投入堂を眺められるところまで登ったのは12年前のことだった。下山して、なだらかだがあちこちに水たまりの残る樹間の参道を歩いていて、不覚にもバランスを崩してひっくり返り、腰をしたたかに打って、長い間痛かった。今では両手が腱鞘炎で、鎖場を上り下りすることもためらわれるし、バランスは当時より格段に落ちているので、『山に立つ神と仏...
View Articleきのわで田上惠美子 硝子展~すきとおるいのち~
昨日届いた田上惠美子氏の案内はお馴染みのギャラリーきのわさんでの個展だった。きのわさんに行ったのは1年ほど前のことかなと調べてみると、2019年1月、なんと2年近く前のことだった。案内の裏面は前回のGULIGULIさんの案内同様バックが黒。その中のワイヤーチョーカーが、星の軌道のようにも思える。窓から半分だけ見える満月と近くの赤い火星。緑かどうか分からないけれど土星や木星は西の方に見えた。人工衛星も...
View Articleきのわ最後の田上惠美子蜻蛉玉展
秋の好日、田上惠美子氏の硝子展へ。なんときのわさんでは10回目の個展だそう😊ショーウィンドウには柔らかい色目の縮緬の帛紗に岩と硝子の作品が2つ。GULIGULIさんでの「岩とガラス展」で出品されていたものとはまた違った作品だった。盃と台内側に模様がある盃と、愛媛の銅山川で拾ってきた台の石と。色合いもよくあっていいる。ガーネット(鉄礬石榴石)の結晶が大小並んでいる。すごい👀ガラス盃の内側に羽状文をつく...
View Articleきのわで金箔に触れる
田上惠美子氏は、出身地の神戸にある市立博物館で11月23日まで開催されている和(なごみ)のガラス―くらしを彩ったびいどろ、ぎやまん展に併せて、ミュージアムショップで、「蜻蛉玉源氏物語全54帖」の展示と販売をされているそうです。その期間中に3回ほどお茶会が催され、そのために動画を幾つか制作されたそうで、それをきのわさんで見せて頂きました。見ている内にPCの画面に人が寄ってしまうので、その度に「密」「密...
View Article彬県大仏寺 大仏窟の装飾
彬県大仏寺について『彬縣大佛寺』は、石窟群は貞観2年(628)、唐の李世民の時代に建造が始まったというので、阿弥陀如来は628年以降に彫り出された初唐期の石仏になる。阿弥陀如来の光背の上には菩提樹が繁り、左右から日月(じつげつ)を持った手が出ている。この日月については面白いことが分かったので、後日まとめます。光背頂部三尊が安置されている楼閣が頂点にある。腰を曲げ、琵琶を奏でる楽人が残っている。舟形光...
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