その時初めて最奥部にある第4の中庭に足を踏み入れて、バーダット(バクダード)キョシュキュやイフタリエ、そしてレワン(エレバン)キョシュキュなどを見学して、イズニークタイルの最盛期よりは時代が下がるが、とても涼しげな建物や眺めの良いイフタリエなどの雰囲気がとても良く、私のお気に入りの場所となった。
ところが、年が明けた1月20日にNHKのBSで「工芸の森 トプカプ宮殿 植物文様に秘められた物語」が放送されて驚いた。
同番組では、2023年がトルコ共和国建国百年に当たるのに合わせて宮殿の改修工事が行われ、その時に新たな壁画が発見されたという。
幸い、イスタンブールを春に再び訪れることができたので、もう一度トプカプ宮殿に行った。第3の中庭から狭い通路を通ると、先が階段になっていて、第4の中庭は一段低い。
第4庭園平面図 『イスタンブール歴史散歩』より
➊レワン・キョシュキュ(レワンは現アルメニアの首都エレヴァン) ➋通廊 ➌レワン・キョシュキュ前の水槽(池) ➍聖遺物室 ➎バーダット・キョシュキュ(バグダ-ド) ❻イフタリエ(小さな東屋) ➐皇子たちの割礼の間
左側の柱廊は小さなドームが並び、右側の柱廊は尖頭ヴォールトになっている。緑の庇はこの二つに架かっているのだが。
番組では通廊からアーチの起拱点から始まる曲線の三角形の漆喰を剥がした箇所で壁画が発見されたという。
はて、この二つのアーケードのどちらにあったかな。こちら側からは見えないので、
反対側から見ようとしたが、レワンキョシュキュから大勢の観光客が出てきたので、なかなか近寄れない。
反対側から見ようとしたが、レワンキョシュキュから大勢の観光客が出てきたので、なかなか近寄れない。
人が退くのを待ってレワン・キョシュキュへ。
入口が一段高くなっているので、その段の上からから見てみると、あった! 小さなドームを支える内側のアーケードの方だった。
ところが、残念なことに保護のカバーがあって、鮮明には見えへんやん・・・
それでも写したが、いくら頑張っても、色も不鮮明ですっきりとは写せなかった。
番組では真ん中の大きな苺のようなものは説明がなく、龍は15世紀のサマルカンド将来の絵画に描かれていて、鳳凰はペルシア神話のシームルグということだった。
シームルグについてはこちら
左の鳳凰
番組では鳳凰の頸部や翼の初列風・中雨覆などが金色だったが、この写真では赤茶色になってしまった。
こちらの鳳凰の絵は金色っぽく写せたかも。
どうも赤い花の茎は鳳凰の下で分かれて、一本は端の方に伸びている。
右側のアーチの起拱点にも壁画はあったが、
このアーケードは、➍聖遺物室の二重の柱廊の内側だったようで、番組では、造られたのはスレイマン大帝の時代で、描いたのはシャクルという人物で、イランから連行し宮廷絵師長にまでなった人物であるという。
スレイマンはサファヴィー朝に遠征しているので、その時のことだろうが、その頃のサファヴィー朝は現在のイランよりもずつと小さな領土で、北西地域ほどしかなかったので、おそらくスレイマンが連行したさまざまな工人たちは、古くからの交易都市だったタブリーズ辺りの腕の良い人たちだったのだろう。イズニークタイルや陶器が素晴らしいできばえになったのもその頃からというのを何かの本で読んだが、記憶力の低下が著しいため、思い出せない。
それはさておき、シャクルが新たに採り入れた画材は龍と鳳凰だけにとどまらなかった。それについては次回
つづいて➍聖遺物室の柱廊側外壁とオプス・セクティレの床
金色の扉のようなものは開かず、ドアは左手にあったが閉まっていた。
こんなにもスレイマンの時代につくられたものがトプカプ宮殿の端の方に残っているとは。
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参考にしたもの
2024年1月20日にNHKのBSで放送された「工芸の森 トプカプ宮殿 植物文様に秘められた物語」
参考サイト
FNNプライムオンラインのトルコのトプカプ宮殿で壁画発見~約500年の時を経て色鮮やかに蘇る(2020年12月25日)